《見かけによらない超テクノロジー》
 バトルホッパーの蘇生・強化によって誕生した光機動生命体アクロバッターは、モトクリスタルによる臨界反応を動力源とした生体マシンである。両者のルーツは、暗黒結社ゴルゴムの科学力がもたらしたマシンフレームに端を発する。
 マシンフレームと、これに組み合わされた生体組織には、個々のパーツとして組成構築されるナノマシンが用いられたものと推測される。それは主に、マシンフレームを覆う装甲「ソーラジルコン」に活用されたと思われてきた。
 ナノマシンの配列変換によって、素体はオートバイの形をとどめながらも、全く異なる外装を構成できる。しかしモトクリスタルのユニットや駆動系、車輪などに関しては、もともと共通の機構を利用しており、ここにまで変形・進化を促す必要性は薄いと考えられていた。
 仮面ライダーBLACK−RXが多段変身能力を持つにいたり、アクロバッターもまたロボライダー専用形態・ロボイザー、バイオライダー専用形態・マックジャバーへと多段変形を果たすこととなった。ここまでは、マシンフレームとナノマシンによるディティール主体の進化と見なすことができた。
 しかし、マックジャバーには、その仮説を覆す能力が備わっていた。マックジャバーの基本性能は、機動性と旋回能力の高さをアクロバッター以上の走破性として発揮するものだ。また、液体分子結合によるボディは、物理攻撃を無力化する。この液体分子結合ボディという構造が、問題の能力である。
 マックジャバーには、バイオライダーの従者としての使命が与えられており、バイオライダーのあらゆる戦闘シークエンスにも追随しなければならない。その中で最大のシークエンスは、バイオライダー自身が液体(流体と言った方が適切かもしれない)化し、いかなる場所へも浸透・潜入・脱出を図ることにある。
 この能力に対応することが、マックジャバーは可能なのである。コアであるモトクリスタルさえもが流体化しなければ、壁の亀裂状の隙間をも通り抜けるというそれは、あり得ない能力。マシンの組成全てにナノテクノロジーが及んでいると考えるべきだろう。ただし、この能力については想像以上の負担がかかるらしく、マックジャバー自体がほとんど使用されていない。