《爆裂的に復帰せよ》
 ネオテーラとの戦いを終え、対超災害救助活動拠点をヨーロッパに移したレスキューフォースは、日夜訓練と防災啓蒙に励んでいる。かつて、語学の基礎能力で落第点を喫した隊長・石黒鋭二も、たゆまぬ努力によって、業務に支障のない程度の対話能力を身につけていた。
 彼と同期生の大河リクが日本での後任にあたり、新たなチーム、レスキューファイアーの指揮官に着任した折、完全配備の終わっていない新型レスキュービークルの穴埋めとして、レスキューストライカーの貸与を申し出たのは、石黒自身であった。実質的には超災害認定となる災害出動はなく、ジャカエンの魔手もヨーロッパには及んでいなかったことから、レスキューマックス無しのシフトでも対処が可能だったからだ。
 しかしジャカエンの猛威は意外にも強力で、レスキューストライカーは大破し、全損状態で石黒の元に戻ってきた。石黒は突貫作業でレスキューストライカーの修理を指示。再び、今度は超火災との戦いに備えて体制を整えていた。
 その石黒を訪ねて、大河がやってきた。レスキューフォースの中型ビークルと同型車量を、対超火災仕様にカスタム化し配備するプランを携えて。
 大河は一通りの説明のあと、石黒をオフィスの中庭に連れ出した。そこには漆黒のコアストライカー・マックスが駐車してあった。 「お前には“現物”を見せた方が判断が速いと思ってね。これがステルスコーティングと超弾力クリアコートを施した試作車だ。去年の楯石GPの時みたいなドジを踏んでも、ダメージは出ないぞ」
 このマックスは、R1・轟輝が使用しているマックスとは異なり、コアストライカーの外装パネルを強化型新外装に換装したものではなく、33型フェアレディZそのものをベースとしている。
 開発ナンバーはCS02B。排気量9000ccのエンジンを搭載し、最高速度600km/hもR1用マックスと同様だ。石黒がこれを乗りこなせるかどうかまでは、たぶん大河は考えていないだろう。そのあたりは、組み込んだAIシステムが完全補佐してくれるからだ。
 「どれ、傷一つつかないことを証明してやろうか」
 大河はいたずら半分でトライバッシャーをソードモードにスタンバイする。
 「お、おいおいっ、やめろよ。これ俺のなんだろーっ?」
 あわてて制止する石黒の目の前で、トライバッシャーが振り下ろされた・・・ 

※お断り レスキューフォース・レスキューファイアー本編に、このようなエピソードは出てきません